撮影雑記帳 2002年10月分

 

10/1

今日、帰ってきて郵便受けを見たら、写真誌の出版社から入賞通知が来ていた。この雑誌は自分にとって一番敷居が高いものなのだが、今回で通算2回目の掲載になった。結構、入賞が内定してからの確認作業があるのでその辺の管理の厳しさでも私などは緊張してしまうのだが、まあそれはそれ、めでたいことこの上ない。雑誌の発売は12月である。
そして、嬉しいことにその掲載写真が今年の夏のアルプス遠征で撮った「槍」の写真である。この雑誌で「槍」が載ることは私としても光栄である。晴れて山岳写真デビューである。選評が楽しみだ。
私などは非力なので中判カメラなどはまず持って歩けない。35ミリでこの雑誌に食い込めるだけで満足である。今後の山行に弾みのつくいい知らせだった。

Ω

10/3

 おお!今日はカメラメーカーのサークル誌に写真掲載の入賞通知だった。実にめでたい。載った写真は山岳写真ではない。鎌倉のお寺で撮ったものである。しかし、鎌倉も久しく行っていないな、と思う。鎌倉などはどちらかというと好きな場所で年1回は行っていたのだが、最近ではボーズと江ノ電で江ノ島まで行ったきりだからもう2年は行っていない。.これからの時期は秋本番ということで八幡のイチョウとか紅葉もそれなりに素晴らしいと思うが、今年はそれ以上の彩りを求めに行くのでまた鎌倉に行く予定はない…。

しかし、いい知らせが続いた。ここで調子に乗ってもう一誌参戦しようと今準備中である。
紅葉の写真のバリエーションで「初掲載」を目指したい。

Ω

10/13−14

久々に遠征だ。先月の計画から延期していた甲斐駒ケ岳へ晴れて行くことができた。詳細は「山行記」に譲るが、まあきついの一言だった。黒戸尾根を登り、北沢峠に下るというコースだが、のんびり紅葉など撮っていたら山に取り残されるところだった。天候にも恵まれて、首尾は上々。一枚でも染まっていたらもうけものと意欲は満々だったが、果たして山に登らなければ見ることのできない紅葉に巡りあえた。素晴らしいの一言だった。

黒戸尾根ではそれほど鮮やかな紅葉は見られなかったが、ふだん撮らないキノコなども撮ってみた。あとは楓の紅葉がちらほら、まあこれは画になった。また一風変わった写真になっていればと思う。小屋は七丈小屋泊まりで翌日は朝4時半に出発、ヘッドライトを点けて山に登ったのは初めてである。おかげで頂上直下で素晴らしいご来光に遭遇、北岳の秀麗な姿にも感動した。頂上に登ってからは前述のように下るだけなのだが、これがまた北沢峠付近の紅葉はまったくもって圧巻の一言だった。駒津峰から俯瞰する景観はただただ息を飲むばかりだった。光線状態も最高だった。仙水峠からの摩利支天の風景も圧倒された。あの白亜の岸壁に織る錦はインパクトが強かった。もちろん望遠で部分を詳細に切り取った。錦秋の山道を歩く、と言う表現が相応しい北沢峠への原生林の道のりもなかなかよかった。道もなだらかになっているので三脚を担ぎながらの撮影だった。つごう18本撮影、また現像までは遠い道のりだが、伊豆や箱根では撮ることのできないスケールの大きな、または今までのパターンを脱却できた紅葉撮影だった。

あー、南アルプスもいいなー、と思った次第である。

Ω

10/16

今日、職場にある出版社から電話がかかってきた。こんなことは初めてなので面食らったが、要は今度、中判カメラの誌上撮影会を企画したので参加の意思はあるかどうかの確認だった。もちろん2つ返事でOKである。機種はハッセルブラッドで近日中に送る(贈るの方がいい…)とかで取説を同封するのでフイルムの装填から写し方まで習熟しておけとのことだった。AFAE機種から写真をはじめた私にとっては初体験なので恐ろしい限りなのだが、ハッセルなんて夢のまた夢なのでこの機会に是非とも楽しませてもらおう(余裕だな、おい!)と思っている。複数の体験者が予定されるだろうが、一応全国紙なのでまたこの面が写真誌に載ってしまうわけである。今年はこれで3度目である。ついているのかいないのかわからないが、声を掛けてくれるうちが花なのでほいほい出て行くというわけである。しかし、撮影会で撮った写真がフツーではつまらないなー、とも思う。実際は操作で四苦八苦しそうな気がする。安請け合いをしてしまうのも私の性格の一面であろう…。

Ω

10/18

家に帰ったら宅配便が届いていた。出版社からのものだった。中にはハッセルブラッド503CWというカメラが入っていた。おお、これが中判カメラかと感動する。とにかく今日は手にするのみ、説明書その他も入っていたが高価なものなのであれこれいじりまわすのは後日にする。一応どころか名のあるドイツカメラでレンズがこれまたカールツァイスのプラナーである。私如きがこのようなカメラをいじれるようになるとは・・・。生きていて良かったとつくづく思う。しかし、簡単にはいかないだろうな、私のことである使う前にはほんとに説明書をよく読んで使うことにしよう。

Ω

10/19

雑誌発売日。くくくくく。竹内さんのコンテストは2次予選、まあ認知されたと思って次がんばろうという感じである。あとは最終予選2発。何とかならなかったものかと思う。久しぶりに町田に出かけたのでヨドバシカメラに行った。ハッセル対策にブローニーフイルムを2本買う。出版社から1本練習用とかで1本入っていたがネガタイプなのでリバーサルを買ったのだ。うまく撮れるかな、と不安になる。

Ω

10/20

ハッセルで写真を撮った。これがもう大変。フイルムの入れ方から写し方までマニュアルを見なければならないとは思いもよらなかった・・・。何しろシャッターが切れないのである。それができるようになるまで昨晩1時間も取説を見てあーだこーだとやっていた。

つまるところこのカメラは電池の要らない究極のマニュアルカメラなのである。フイルムも自分で装てんし巻き上げなければならないし、絞りもシャッターも自分で決めなければならない。写真を撮る過程ではごくあたりまえのことなのだが、AEAF世代の申し子としてはもうこれは写す以前の問題である。カメラというものの奥深さを見たような気がした。

そしてピント合わせがこれがまた一苦労。ファインダー像はさすがに明確なのだが逆像で見たいものを見ようとすると対象が逃げていくという今までにない経験をした。これもまたカメラの成り立ちを見るようで興味深い体験となった。フォーマットも真四角だし、これはこれで新鮮だが隙もない感じなので対象を見極めるのに苦労しそうである。おまけに上から覗き込むというスタイル、これがまた新鮮だがしんどい。地面を撮るときには一体どうやって撮るのだろうと思う。素朴な疑問だ。プロの先生にぜひ聞いてみたいところである。

そして、フイルム装填が至難の業。何とか入れることができたが、これは練習が必要だ。このネガ一回というわけにはいかない。

そしてちょっとした時間にボーズとコスモスを撮ってみたのだが手持ちなど私には無理。ベルボンマーク7の登場である。近所の人は何事かと思っただろう。そして撮っても12枚、あっという間だった。フイルム取り出すのも一苦労。撮影セミナーの当日では決していえないが、なんとまあ手間のかかるカメラであることか!

ちなみに露出計もないのでEOS−1の評価測光で代替だ。このデータを把握して当日臨めるよう練習しておかなければ、と思った次第である。

Ω

10/21

毎日書いている。ハッセルのせいである。今日はリバーサルを装てんして職場に行った。通勤途中でコスモスを撮っていた。EOSが露出計代わりなので手間のかかることこの上ない。しかし、データは必要だ。おかげで遅刻しそうになった。すべてハッセルのせいである。朝に6枚撮って、帰りに6枚撮ろうと思っていたのだが、あいにくの雨。あーあと思っていたらなんと夕方になってもの凄い虹が出た。28ミリではカバーできなかったダブルレインボーであった。職場で三脚にハッセルをつけた姿を見た人は「こいつはいかれてる」と思ったこと間違いないが、私は千載一遇の好機とばかり残り6枚を撮りまくった。

やりましたよ!と職場の人(中判に理解のある方)にそのカメラを見せながら話をしていていい気になっていたら、どうもフイルムの給送状態がおかしい・・・。そんなはずは、と思って見るとなんと朝装填したと思っていたフイルムがスプロケットから外れていた。よって写真は一枚も撮れていなかったこととなった。そうだ、三角印のところにフイルムのスタートを送るのを忘れていた・・・。後の祭りとはこのことである。これは私のせいである。

まあ、とんだ特ダネはこうして逃してしまったが、今度のセミナーでの笑い話程度にはなるだろう。この失敗は大きな糧になる(と信じたい、もう一度やったら馬鹿である)と思いたい。よって新たにしっかりと完璧に装てんしたフイルムで退勤後に色あせた夕焼けを撮るにとどまった。明日は今日の朝撮りそこなったコスモスにもう一度チャレンジである。何とか土曜日までにデータを把握したいと考えているのでちょっと忙しい。仕事も忙しいのだが、主客転倒の兆しあり、でもある。

Ω

10/26

吉報である。竹内先生の主宰する写真コンテストの結果通知がきた。結果は佳作。つまるところ入選以下ではあったのだが、単なる「展示許可」の作品とは一線を画するものだと思っているので、この箔は私なりには喜ばしいことだと思っている。写真は雲取山のもので去年出品した「スカイライン」と同列のものである。気合いを入れて撮ったものだけに何らかの沙汰は欲しいと思っていたのでよかったと手放しで喜んでいる。ここ2年は出展許可のみだったので先生が講評される日には行かなかったのだが、今年は行ってみようと考えている。それにしても山関係の写真はそれなりに受けは良い。やはりそれなりの苦労を向こうも考えてくれているのだろうか、などと勘ぐっている。麓でのうのうと撮っていたわけではないが、苦労は買ってでもするものだ、というのも一理あるなー、と感じた今日この頃である。

明日は、新宿御苑で撮影会だ。借りたカメラで撮った3本の写真の検討を行なった。露出計はEOS−1の評価測光。使い慣れているのでこれを中央部重点などにはしない。結果としては多少のばらつきはあったが、何枚か押さえれば見られるカットがあることもわかった。平常心で臨みたい。

Ω

10/27

新宿御苑の撮影会。雑誌社主宰の中判カメラ教室と銘打ってプロの先生とマンツーマンで撮るというものだった。余裕こいて出発したつもりが新宿門に着いたのが10分前。冷や汗ものだった。既にプロ先生と編集部の人は待っていた。私は3番目でもう一人ハッセル販売会社の方が来ると言うので、ビリだけは逃れることができた。秦野というデメリットがそのままビハインドになった。プロ先生は桜井秀先生で、HPでもあるのかなー、と前日に検索したら存在していた。「おお!!」とその方の経歴と作品の一部を拝見する。やはり作品として出るものは凄いな〜とただただ感心する。先生は大柄な方で、前に竹内先生とお会いした時も感じたことだが、風景写真家っていうのはごついなー、という印象を今日も先生を目の当たりにして感じた。私も決して小柄な方ではないと思っているが、私よりも大きい方で、それだけでもう圧倒されていた。でかい三脚を格好よく肩から下げているところなんぞ風格が感じられる。とても60を過ぎた方とは思えない。パワーを感じた。

さて、天候にも恵まれて新宿御苑は写真関係だけでもモデルの撮影会がそこここで行なわれていて、最近はこういうところに来ない私にはとても新鮮に映った。35ミリなら機関銃のように撮りまくる私なのでファミリー写真として撮りたい被写体は山のようにあった。ここは都会のオアシスなんだな〜とボーズ、ボンズを一度は連れて来たいと強く思った次第である。フイルムの入れ方は練習したので難なくクリア。早速撮影となった。マンツーマンの撮影といっても一緒だと撮りにくいだろうという配慮から、結局私は放し飼い状態で12時半集合を目処に別行動となった。ただ、機材操作の関係上、カメラ会社の部長さんがテクニカルアドバイザーとして同行してくれることになった。その方も着かず離れずの距離を保ってくれて気を遣ってくれていた。渡されたのはプロビア5本。枚数にして60枚写真が撮れる。先日練習していてわかったことだが、やはり35ミリのようにはいかない。経験がないので露出そのものを決定するのにも時間がかかる。そしてシャッターを切るのにも時間がかかる。おまけにフイルム給送などにも時間がかかる。装填などはもう汗かきものである。たまに人物を入れた風景スナップを撮ろうなどと欲をかくと「あれ、露出の確認をもう一回」などと慎重になっているともう情景が変わっている始末。35ミリならモータードライブで3カットはいけた、などと思うところも0枚である…。また、決定的なのがフォーマットである。画面がスクエアというのが慣れない、という以上に厄介だった。もともとトリミングなどはしない主義なので画面の無駄は極力ないようにして撮っているが、この真四角の画面というのは長方形以上に無駄がないので、桜井先生曰く、「寄る」「三角構図」「見た目の鮮やかさに惑わされない」の指導をもとにするしかなかった。確かにルーペで見たときの鮮明さは35ミリでは味わえないものだった。それでも調子に乗って撮っていて1本上がり、という状態だったが、ここでショック!。私のカメラの感度設定が200になっていることが判明…。くーっ、全部アンダーじゃないか!と今までの写真の一部を取り直すためにまた早足で端から端まで移動する。部長さんも何事かと思ったに違いない。小一時間の間にほとんどの場所では光線状態が変わっていて撮り直しはほとんどできなかったが、まあ編集部の方に説明して増感してもらおうと考えた。それで午前中は2本半撮り切った。ほぼ半分の量である。しかし、そんな状態だったので出来については不安ありありである。

「撮るものがなくて苦労した、単なる散歩になった」と桜井先生は昼食時に言っていた。確かに紅葉には全然早い状態でその向きの写真はほとんど無理だった。私などは目に付いたものを何とかしようとしていただけだが、実際に先生の撮っているところを見ていないのでどこかでクロスするように歩いていればよかったかな、とちょっと後悔した。プロの撮影現場を見てみたかった。しかしまあ、知らぬが幸いということもある。気圧されたら、はいそれまでよ、という性格でもあるため、今日は自分の好きなように撮る、それだけだと思った。

「キャノンのシェアは凄いですね」と編集部さんと部長さん、先生と歩き回っていた感想が次々に出る。デジカメの動向や他の写真家の話、紅葉情報などやはりプロの情報は豊富で確かなものである、と感じた。その編集部の方は11月に竹内先生と同行取材で新潟に行くなどとも言っていた。写真業界を身近に感じられたひとときでもあった。

午後は日本庭園あたりで先生と「接近戦」を行なった。小ぢんまりしたところだが、人口密度はさらに高く、スナップでも撮らなければ作品に出来ないのでは…。と撮るものに苦労したが、風景一本で行こうと初志貫徹。途中、猫が出てきてついつい追いかけてしまったがやはり使い慣れない中判の悲しさか、あざ笑うように逃げられた。先生の姿も一瞬は見かけたが、どこかに消えてしまい。また部長さんとうろうろしていたが、そんなことをしているうちにタイムリミットの3時。4枚のフイルムを残して撮影は終了した。

先生が消えたわけは、実は私と同じミスに気づいて撮り直しをしていたのだといっていた。先生の持って来ていたカメラは1Nだったのだが、感度400の設定だったそうだ。まともに現像したら私よりも真っ黒になっていたという。しかし、「黒くてもそれなりにしあがっていると思うけど…」と。凄い自信である。おー、私などはそれなりに写っていてくれればよしとしているのに、つまりは被写体への着眼点と構図などの基本的なところは私の及ぶところではないのだ、とまたしても圧倒されてしまった。

御苑を出て、餃子の王将でビールのみを注文して4人で喉を湿らせた。そこでも昼に続いて写真談義。アマチュア同士の「談義」とは訳が違う。業界人3人を前にして私などは口を挿むのももったいないくらい頷き、聞き入っていた。さすがに御苑内を歩いたのでビールは美味かった。

さて、これでこの話は終わりではない。来週の11月3日に今度はこの編集部にのこのこと顔を出して、今日撮った写真の検討会を行なうとのこと。桜井先生じきじきの指導というわけである。そこで雑誌に載せる写真も決定するとのこと。あー、まともに写ってくれ!と1週間はそれを祈るばかりである。約束の時間は午後なので都合がいい。午前中は竹内先生のご尊顔を拝し、午後は桜井先生の薫陶を得る機会とはこれは贅沢である。まあ滅多にあることではないのでまた好奇心丸出しで写真誌の編集部というところはどうなっているのか、見に行くつもりで「上京」しようと思っている。

あー、「目指せ全国区」を標榜する私だが、ここで一発何かタイトルが欲しいなー、と思うこの頃である。しかし、未現像のフイルムは一向に減らず、そんな状態ではプリントにする余裕などは一体いつのことだろうと思う。そういうジレンマは私に常につきまとう。

Ω

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