1997,5,12
私は鉄道を利用して旅行するのが好きですが、この「横川訪問」をするまで長野方面は中央本線経由しか利用したことがなく、この碓氷峠の存在さえ頭の片隅にさえない、立派なモグリでした。つまりこの信越本線が碓氷峠を越えていた頃の最初で最後の訪問になりました。機関車を増結しなければ登ることも下ることもできない路線は大変なものなのでしょう。かの「電車」が助けを借りるくらいなのですから。
長野オリンピックを目の前にして廃止となった、横川・軽井沢間を結局私は一度も通ることなく終わってしまいましたが、この一日の訪問は俄か鉄道ファンとして充実したものだったなー、と感じています。
この訪問記を書くにあたり、ふとそんなことを思い出しました。(2000,12,28)
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住んでいる所が神奈川の西で、さらに小田急沿線なので始発に乗っても上野に着くのはいい時間。特急「あさま」は今にも出発するぞ、と言わんばかりに待っていた。平日なのに自由席はほぼ埋まっていて窓側はずらりとお客さんだった。この特急に乗った時点では横川で降りるか、とりあえず軽井沢まで行ってみるか決めてはいなかった。碓氷峠を越えてみたい気持ちもあったし、横川でゆっくり写真を撮ってみたいという気持ちもあった。
列車は何の変哲もない平野を走っていたが、高崎からの信越本線は風景ががらりと変わり、山に向かうぞ、という雰囲気になってきた。
そして、横川間近になり奇峰連なる妙義山を見た途端、「横川で撮る」と決めた。多少の後悔はあったが、結果的にはそれで良かった。
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写真は「めがね橋」。古い信越本線の遺跡である。その向こうに見えるのが電車の通る線路で、この日も私以外に数人の鉄道ファン(どう見ても)がいて、この新緑の中を走る列車の写真を撮ろうと待っていた。
私は横川郵便局で旅行貯金を済ませた後、ここまでの道を聞いて徒歩でやってきた。1時間強の山登りという感じで大変疲れたが、列車が来るまでは特にすることがないのでのんびりと休んでいた。
しかしまあ、俄仕立ての鉄道カメラマンである、列車がいつ通るかも調べてなかったので傍にいる御仁にあれこれ尋ねて、「4回くらい撮れればいいな」、と写真を撮って昼前にはこの場所を後にした。
列車が通る時に、その列車が走っていることで「結構な勾配だな」と改めて感じさせるものはあった。
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めがね橋までの往路は、「とにかくポイントに行かなければ」、と飛ばしていたが、帰りはのんびりと横川まで下っていった。
途中、人造湖の碓氷湖なる場所で小休止。地元では終わってしまった新緑の写真を撮る。
写真は、旧鉄道の廃線跡。こういうところが国道と何回か接している。
「危険のため通行禁止」と地元の教育委員会名で看板が立ててあったが、好奇心には勝てず、そのうちの一つのトンネルをくぐってみた。
他愛もないことだが、一生に一度の足跡をこの地に残せたことに内心満足していた。
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往路で猿にガンをつけられた大内地区を今度はゆっくりと歩いてみた。
国道を車が走っていなければなかなか山間の宿場町という感じがする落ち着いた街道筋だった。
特にどうということはないが、右のような写真を撮ってみた。それだけ時間が止まっている感じのする場所だった。
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風情のある旧中山道大内宿を抜けて再び横川駅へ。
休日ともなれば「さよなら信越本線」のノリで結構な鉄道ファンなどで盛り上がっているそうだが、この日は閑散としていた。途中、登り下りをする列車をフイルムに収めたり、この駅でも機関車と列車の連結作業などを撮ることができた。俄仕立てでもこれだけ記録できれば十分だろう、というところまで撮って、写真の「峠の釜めし」をホームで食べた。
食に無頓着な私と言えど、それくらいのこだわりはある。
容器は陶器なので再利用が可能である。ちょっと嵩張るが、記念品として家に持ち帰った。ニョーボには「また変なもの持ってきて・・・」と言われたが、これは行った者でないとわかるまい。
今では机の上で、無造作にペン立てとして余生を送っている。
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せっかく群馬まで来たのだからもう一ヶ所くらいどこか寄りたいな〜、と横川から各駅停車の電車に乗って高崎方面へと向かった。
昼下がりの列車は写真の通り、空気を運ぶのみである。そんな中で私は先頭車両の運転席の後ろにいるものだから、運転士としては「席がらがらなんだから、どこか座ったら?」ぐらいのことは言いたかったのではないだろうか、と思っていた。
乗り物に乗ったら、「落ち着かない」、「眠れない」、まるで子供である。
結局、足のマメがつぶれてそうそう移動できないこともわかったので群馬八幡で途中下車し、「達磨さん」で有名なその名も「達磨寺」に立ち寄った。
境内には達磨がたくさん。足が痛くてもう手も足も出ない状況の私は、いろいろと無責任に祈願してこの撮影行を幕にした。
帰りはお金がないのでひたすら各駅停車に乗って、遠い遠い神奈川へと戻っていった。
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横川訪問記・おしまい
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