編笠山
(山梨県・長野県:2524m)
2003,12,7
ついに(というか、いつもこんな感じなのだが・・・)、サニー君はまた片道の到達点を更新した。場所は小淵沢。深夜の中央高速をぶっ飛ばしてやって来た。途中、甲府盆地に突入した時には濃霧になり、双葉SAに逃げ込むという事態もあったが、進んでいくうちに晴れ渡り、満天の星、西に輝く月がとても美しかった。小淵沢ICを下りて更に一般道を20分ほど上ったところが観音平という場所だった。時刻は午前4時、甲府盆地を抜けてから快晴だが風が物凄く強い。駐車場の周りの林などはゴーゴーと音を立てて木々が揺れていた。
「寒いのは嫌だなー」、そんなことを思いながらクルマの中で登山者に変身した私は、それでも晴れているのだからとしぶしぶ4時半に山を登り始めた。登山道は当然真っ暗なのでヘッドランプを点けての山登りだ。こんな時間から登り始める人などこれまた当然のようにいない・・・。しかし、頂上まで約3時間の行程のうち2時間も暗闇の中を登れば、日の出の頃には森林限界を突破できるのではないかというねらいがあったため、怖くても道さえあれば何とかなると前進しているわけである。
時々、ライトに動物の眼が反射してドキリとする。こないだは猫だったが、今回は鹿のようだった。ゆるゆるとした登り、何度も同じようなパターンで右に左にと登って行くうちに、5時に雲海というポイントに着いた。ここでパッと手に取った棒切れが割りと手に馴染んだのでいつもはストックなど使わない私だったが、今回はこんなものでも使ってみることにした。結果としては、「やっぱり楽だし、下りには今まで危険だと思っていたパターンも回避できるなー」と、意地で使っていなかったようなストックだが、山行歴2年目にしてやっとその効果を認めるに至った。雲海で小休止、標高は1880mと書いてあった。
だんだん勾配がきつくなってきたが、棒切れでリズムをとりながら登るととてもすんなり足が出るのでひょいひょいという感じで進んで行く。5時50分に押手川というポイントに着く。標高は2200m。コケが美しい地点だと物の本に書いてあったが、相変わらず真っ暗なのでライトで照らされた場所だけ見てもよくわからない。どうせ帰りも同じ場所を通るのだからと、サイドポケットに差し込んだ2リットルのペットボトルの水を飲んで休憩する。
この地点で、地面をよく見るとうっすらと白くなっているところが目立ち始めた。樹林の中なので、それほど地面には届いていないのだろう。それでも雪の存在は、やっぱり相当寒いところに来ているんだな、ということを実感させられた。
そして、押手川からさらに登っていくのだが、これがまた登山道が判然としない・・・。どういうことかというと、どこを歩いても登山道のような感じなのである。人が踏んで歩いたような感じでもあり、とにかくどこを歩いても登れるのである。本当はルートがあるのだろうが、ライトをつけてもよくわからないので、この「なんとなく登山道」を登っていった。下りは危険だが、登りなら何とかなるだろうという安易な考えに基づく判断だった(おいおい)。
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真っ暗から登っていると写真が出るのが遅くなる。ということで辺りが白み始めたところでライトを消し、樹林帯を抜けられそうな雰囲気になってきた。東の空は明るくなり、日の出の場所と思われる場所は一層赤みを増していた。そんな中、樹林越しに富士山のシルエットを発見!「むむむ、何とかこの当面の立ち木を回避できないか」と、ますます足元が雪のため不安定になっている道をペースを上げて登っていった。
うむ、ここなら何とかなる・・・。
これ以上登るとまた一時的に樹林の中に突入してしまうので、このポッカリ空いたスペースで富士山の写真を撮ることにした。
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そんなわけでこんな景色が見えるところで大休止。三脚立てて富士山のシルエットを写真に撮っていた。ちなみにこの写真はコンパクトカメラで撮ったもの(この山行の直後、我が家のボンズに破壊された・・・。合掌)、この時間帯の感じはとても良かったのだが、日が出てからはあっという間にコントラストがなくなったので、日の出とともにGO、とばかり、頂上を目指す。
上を見ればもうハイマツ帯は間近である。周りの木は雪化粧、やはりここ数日の悪天候はここでは雪になっていたのだ。
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と、言うわけでこれが具体的な光景だ。実に美しい。三脚を立てて撮りたいところでもあるのだが、狭い登山道で足場もなかなか悪い。おまけに着雪しているハイマツが悉く凍っているので道の両脇はとても冷たくなっている。だから手を抜いて手持ちで撮影だ。まあ、色も白っぽいし、相当明るいので+補正にしても十分手持ちに耐えられるシャッター速度が確保できる。
更に上を見ると、青空の中に物凄い速度で雲が西から東に飛び去っている様子が見えた。
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この登山道でのハイマツ帯を突き抜けて荒涼たる場所へと出た。上は風が強いらしいが、こんな写真を撮っているくらいなので、この場所は何のことはなく、静穏だ。形のいい霧氷(樹氷?)を見つけては、あちらこちらへと動き回った。木ばかりか、草もその一本一本が凍っていた。
うーむ、過酷な条件だ・・・。しかし、こんな写真が撮れるのも苦労してきた甲斐があったというものだ。頂上も近いので意気揚々と足取りも軽く歩を進めていく私であった。
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そして頂上、私にとっては信じられない事態に直面した。
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ブォーッ!!!!!!!!!!!!!!
怖かった・・・。吹っ飛ばされると思った・・・
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| これが頂上、吹き付けられた雪があるものの標高と山の名前が辛うじて編笠山であることがわかる。 | 更に、その西側、もの凄い風。ケルンにこびりついた雪・氷が風下側に伸びているのがわかる。 |
私の登っている場所は風の通り道ではなかった。頂上に出て、西高東低が強まると言っていたその現実をこの身でもって体験することとなった。ザックを含めるとだいたい90キロになろうという体が風に対すると前に進まない。だから三脚立てて記念撮影などはもってのほか、ただ頂上がどうなっているか、ということを確認するにとどまった。そして、展望の開けた西側を覗こうとすると、更に風は強く、雲は切れ切れに山頂をかすめていくが、この強風は途切れることがない。いい加減、顔がこわばってきたので「撮るものも」とりあえず青年小屋方面へと下山することにした。
いやいや冬の山の風はこんなに凄いのか・・・。と、この編笠山で勉強させてもらった。7時30分に到着、そして撤退。
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青年小屋方面には山の北側を下っていくのだが、南側を登った時とはまた様相が違い、雪も5センチ以上は積もっていて、展望の開けたところでは風が強かった。道は、私が歩く前に何某かの動物が通っていて、その足跡がくっきりと残っていた。そんな足跡を見ながら私も歩いて行った。
画面中央の白くなっている雪の広場が青年小屋である。まあ、この写真を撮った場所からは20分程度である。
その上はガスがかかっているが、そこからが八ヶ岳縦走コースの核心、晴れていれば地蔵岳が見えるはずである。こんな天気なので残念ではあった。
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8:00。青年小屋到着。ほっと一息つく。樹林帯から小屋まで写真のように岩がゴロゴロしているが、これがまた難儀なものだった。歩くコースは自由。ゴールは小屋とわかりやすいのだが、岩の上は凍結しているのでホイホイとは下れない。しかも写真で見るよりずっと大きな岩である。転んだりぶつかったりしただけでただでは済まないことは明らかな危険地帯である。
そして、小屋の冬季開放スペースで暖かいものを作ろうと、コンロを設置して、サイドポケットの水を手に取ったのだが、これがまた、何と半分は凍っていた。
「コノヤロー!」とガシガシ柱にボトルを打ち付けて氷を破砕して、何とか水を確保してカップラーメンを作ることができた。そうして落ち着いたころ、小屋の中にある寒暖計に目を転じると、やはり「0度」であった。これなら凍るだろう。しかも自分が歩いて来たところは氷点下であったことも推定ではあるが明白だ。
ああ、早く駐車場まで戻ろう、と風の通り道でもあるこの鞍部を後にした。30分の大休止であった。
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青年小屋から押手川までは頂上を通らない巻き道コースになっており、比較的緩やかな下りになっている。このコースに入ったらまた風もなく静穏な山になった。
そんな山道になったらまた棒切れの出番。こないだの毛無山でもストックをうまく使っていればスリップ続出の憂き目に遭わなかっただろうな、などと思いながら、快調に下っていった。
左の写真はそんな中、展望の開けた場所で撮った、地蔵岳方面の景色である。
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巻き道コースは再び押手川に合流。時刻は9:30だった。下りなのにゆっくりであると思う向きもあるかもしれないが、途中、細かな光景を撮っていたりしたのがその理由である。この押手川という場所は「川」という名はあるものの水の流れはない。右の説明板には一帯のコケを手で押すと水が染み出てくるくらいの場所であるということが書いてあった。
左の写真ではわかりにくいが、地面はコケに覆われている。こんな時期なので冴えないが、コケの最盛期がいつなのか知ることができたら、ここを目的にしててもいいくらいの場所だと思った。
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押手川からは暗闇の中、登ってきた道を下る。この写真はもう駐車場間近という場所で撮ったものだが、落葉した落葉松林は、冬の日を浴びてとても明るい。もはや登山道というより遊歩道と言った感じである。
ここを歩いていると頂上付近の過酷な条件が俄かに信じがたい。そんな落差が今回は新鮮だった。
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そうして、10時半に駐車場到着。今回は無事下山できた。めでたしである。
そして、山を仰げば編笠山の頂上が見える。右の八ヶ岳のように雲がかかっていたらどんな山の形だったのか知ることもなしに立ち去ることになっただろう。見られて良かった。
この駐車場からは甲斐駒ケ岳もよく見えた。あー、南アルプスも来年は1度は行きたいな、と思った私だった。
さあて、こんな時間に下山できたので、あとは帰路のついでにいろいろと初冬の景色を拾うのみである。ともかく編笠山登山は成功ということで満足だった。
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この後は、美し森まで八ヶ岳公園道路をかっ飛ばして、閑散とした清里を一瞥した。その後は、「午後の部」ということで富士山を撮ろうと甲府盆地から精進湖に進入、そして本栖湖、忍野とこまめに時間帯と相談しながら移動した。甲府からは霞んで見えた富士だったが距離が近づくにつれ、そして日が傾くにつれコントラストを上げていったので、なかなかの写真になった。この辺はどこに行っても富士山を撮る人で賑わっていた。
クルマのおかげで一日をダブルヘッダーで楽しむことができた。よかった、よかった。
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編笠山 山行記 おしまい
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