紀伊プロジェクト

紀伊半島東岸撮影行

2000,3/27〜3/30

 

この撮影行は、3/27からになっているが、これは私の大好きな出発方法の「夜行バス」利用である。池袋から南紀勝浦温泉の路線を利用した。東名経由ならすぐ寝ようと思っていたのだが、中央道経由で行くバスだったので甲府盆地と諏訪湖の夜景を見たいがために結局寝たのは2時過ぎだった。朝起きたのが安濃サービスエリアだったので旅行のスタートとしてははっきり寝不足である。雲行きも怪しいし、熊野を過ぎてからは雨が降ってきた。
勝浦に着いてからは、すぐに第一の目的地、周参見へ向かうべく、各駅停車で串本まで行き、そこから特急を利用した。
しかし、周参見は物凄い雷雨だった。三脚を担いでいた私は、町役場あたりまで進行したものの「危険だ!」と判断し、雷鳴轟く中ほうほうの体で駅へ逃げ込むことになった。まあ、街並みを歩いてみたい程度の訪問だったので写真が撮れなかったことについての悔いはなかった。(それどころか本当に怖かった)
周参見から串本に戻り、そのまま潮岬へ。
この岬は交通の便がいい方であろう。岬が陸繋島になってさらに台地なのでバスの利用はした方がいいと思うが、乗ってしまえは゛「何だ。もう着いたか」というくらいあっけないものである。
こうしてなんなく本州最南端に到達した(上の写真)。天気は雨が降ったり止んだり。風もそこそこ吹いていて場所によってはいい感じで波が立っている。写真を撮るにはまずまずの荒天だった。
ちなみに、調子乗って海岸に下りて写真を撮っている間に傘を飛ばされてしまい、それ以降は濡れ鼠である。
もちろん傘はそのまま太平洋に。二度とこの手には戻ってこなかった。

明けて29日。夜半から雨は上がり、朝日の撮影としてはまあまあの条件になった。ターゲットはもちろん橋杭岩である。前日に鉄道で移動している時にわりとそばを通って見ている筈なのだが、こうして目の前にしてみると「やはり大きい」と思わざるを得ない。
日の出前から三脚立てて撮影していた時に、地元の人も軽自動車や自転車で乗り付けて写真を撮る準備をしているのがいたるところで確認でき、「今日はその向きの天候かな?」と期待したが、そのうちの一人の話で興ざめになった。
こういう御仁はこういうポイントに行くと必ずと言っていいほどいるものだと思っているが、ここ串本でも遭遇した。

(誰に対して言っているのかよくわからないが・・・)「あー、今日はダメだな」。そしてとどめの「こんな天気じゃあ」。
何も撮らないで帰る、地元のベテランなのだろうが・・・。黙って立ち去れないのだろうか。ホンとに・・・・。


それでも風景は一期一会。やはり日の出は荘厳で美しい。

串本から紀伊大島へバスで渡る。一昔前のガイドブックでは船で渡る島だったが写真のような橋が架かっている。基部が高度を稼ぐ(船舶の通行のため?)ループになっている「串本大橋」である。
目的は、灯台巡り(樫野崎灯台)と海金剛という景色を見に行くこと。

バスは元フェリー乗り場だった島の海の玄関「大島港」を経由して東端の岬を目指して走る。港からしばらく行ったところ、中学生がみんな降りたところで乗客は私一人になった。まあ、こうしたことは珍しいことではなく、むしろこういうバスではよくあることである。
島の幹線道路は新しく、バスの飛ばしている時間から見ても島の大きさは自分の想像(島は大きくないものだと思っているので・・・)を軽く超えていた。終点の樫野崎灯台は近々公園としてデビューするのか、誰もいない敷地で整備工事が行われていた。

樫野崎灯台。低気圧一過の青空に映える白亜の灯台。観光客は私一人。そういうシチュエーションは実に好みで、とても贅沢な時間を過ごしているなー、と思う。

眼下は太平洋。ところどころに波頭が見える。
一足早い春を満喫しながら樫野集落を経由して海金剛を展望できる「鷹の巣」というところを目指す。

 

写真は海金剛を俯瞰できる鷹の巣展望台。さすがに柵を乗り越えてまで下を覗きたいとは思わせない壮絶な景色がそこにあった。自然の造形とは言え、あの三角の岩はどうしたことだろうと素直に感動してしまう。海の色も深い青で、こうして文字にするにあたっても、語彙および表現の幅の狭さを悔やむばかりである。
ここで小休止した後、串本から特急で紀伊勝浦へ進み、バスで那智山へと向かった。
因みに、後ろに見えている岬が樫野崎である。

熊野権現那智大社。あのサッカー日本代表のエンブレムにも描かれている「ヤタガラス」(足が3本ある神の使いとされるカラス、らしい)の故郷(?)である。ここまで私を運んでくれた熊野交通のバスや停留所にもこのカラスがデザインされていた。私の近所ではゴミを漁って嫌われているカラスもここでは神聖な鳥のようである。
この神社の隣には西国札所1番の青岸渡寺があり、神仏が同じ土地で別棟という雰囲気である。
ここでは、またくだらないものを買ってしまった。那智黒(飴でない)の碁石を打ち抜いた原板(一種の産業廃棄物)を50円からの値段で売っていたので100円のものを買った。穴に指を通して拳で握ればカイザーナックルをしているように見えなくもない・・・。


「おおっ!これぞ那智」という風景だと思いませんか、これ。
過去にこの塔の一階の欄干に山口智子(素敵な女性だ・・・)が立っていて、その姿にズームアップするCMの一場面を思い起こさせる景色である。確かJR西日本のキャンペーン「イッキに南紀」とかいったような気がする。

私もそうした記念写真を撮りたかったが、その先があったので更に奥の那智大滝をご神体とする飛龍神社へと向かった。さすがに100mを越える滝の直下は首が疲れる。雨季だったらそうそう近づけるものではないだろう。

滝を見た後は、熊野古道を歩いて那智駅方面まで行った。場所によっては桜が満開で、やはり「南紀」なのだと関東との気候の違いを実感した。

30日、撮影行最終日。この日はよく歩いた。
宿泊は熊野市で、まだ暗いうちから鬼が城へと向かい、朝の撮影に臨む。が、ロケーションがまずく、前面に大きな半島が横たわっていた。おまけにちょっと重い曇天。何をするでもなく明けてゆく空を眺めながらボーっとして過ごしていた。

熊野市を出て二木島という駅で下車。典型的なリアス式の湾の最深部にある駅で、目指す岬からは最長距離の位置にある。
目的地は「楯ヶ崎」でもう無茶苦茶疲れた。機材に加え、春にしては汗ばむ天気。そして一方的な登りの多さ。なぜ海のそばに来て平らな道を歩いて行けないのか、と何度も思った。
しかし、景観は一級で吸い込まれそうなくらい青い海はとても美しかった。

楯ヶ崎は柱状節理が発達した断崖で、これもまた「よくもまあ」という類の景色だった。
何かの写真で見た記憶があるが、夕陽に輝くこの岬。その舞台を見たくてここに来た。

再び駅に戻った時は、相当疲れていたが、この地を訪れた満足感は大きかった。

九鬼。撮影最終地。ここもリアス式海岸の最深部に駅があり、やれやれという気がしたが、二木島と違ったのはアップダウンがほとんどなかったこと。歩いて20分くらいで鄙びた感じのする町の中心部に着く。

道の終点のような感じの九鬼神社は写真の左側にあり、その社叢は天然記念物に指定されている。そんなこともあって足を運んだのだが、撮ったのは石段の参道にいた黒猫だった。

港の縁では親子連れが釣り糸をのんびり垂れて春の日を満喫していた。私も足を投げ出して大休止。不便さは否めないような九鬼だったが、こういうところが豊かなところなのかも、と珍しくそんなことを考えた。

九鬼を出てからは、多気までは各駅停車にこだわり、そこから名古屋までは快速「みえ」でワープした。

紀伊プロジェクト 終了

 

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