伊勢志摩プロジェクト その1

1991,AUGUST

大王町・波切編

 

私にしては珍しく日中の出発。旅行の場所が三重県ということ、滞在期間が1週間にも及ぶということもあってゆっくりと目的地まで行きたかった。

神奈川から各駅停車を乗り継ぎ、豊橋まで来たところ(写真)でハプニング。車両の故障とかで足止めを食うことになった。予定の接続では名古屋で「快速みえ」に乗るはずだったのだが、この時点でパーになった。昼過ぎには鳥羽に着くはずが夕方前になってしまった。

まあ、そういうこともあるだろうとゆったり構えて名古屋へと向かい、関西本線を使い、亀山、松坂と鈍行列車の旅を楽しんだ。

鳥羽到着。ブラジル丸(2001年現在はもうない)の前で。鳥羽のシンボルのひとつでもある。中はブラジル移民の資料館となっていたが興味がないのでパス。港付近をブラブラと歩いていた。各駅の乗り継ぎで鳥羽まで来たが実は近鉄特急で来た方が早かった。研究不足だった。「伊勢志摩フリー切符」を持っていたのでこの地区の近鉄・JR・三重バスはフリーである。自分の頭の中で移動手段はJR優位だったので、JRの利用にこだわったが、この伊勢志摩リゾートは近鉄優位であることを改めて知ることになった。

この日の宿泊は伊勢市駅前のビジネスホテル。お盆前ということもあって割高だったが仕方ない。志摩を回ってきた後、再びこのホテルを利用したかったので2泊分予約した。これから大王町まで行って4連泊。どうなるか楽しみである。

2日目

近鉄で鵜方まで来て、駅前の郷土資料館に入り時間を潰す。志摩半島最初の目的地は的矢湾の東端、安乗崎。ここは私の好きな映画「喜びも悲しみも幾歳月」の舞台にもなった場所である。天気は快晴。暑いくらいだが空が広く爽やかである。

深い入江に入っていくヨットなど撮りながら小一時間を過ごす。
次の目的地は英虞湾を一望できる登茂山。鵜方までバスで戻り、再びバスで移動し、大王町波切の宿で旅装を一旦解き、機材を持って夕景を撮りに登茂山へと向かった。

英虞湾。無数の真珠の養殖筏が見える。

日没を待ち、撮影の陣を敷く。

真夏の暑さのためか、午後の展望台は誰もいなかった。景観としては一級。
今まで国立公園というものをあまり意識したことがなかったが、かくも国立公園とはこのような景色であることを改めて知ることとなった。

夕暮れ。日没は雲の陰に隠れて撮ることができなかったが、その雰囲気は十分に味わうことができた。

これから4日間、大王町に泊まることになるが、うち3日はここ登茂山に来ることになる。

3日目。

波切漁港、朝の景色。旅行先では早起きなので目覚ましをかけていたが、それ以上に衝撃的なサイレンが午前4時には鳴ったので飛び起きる羽目になった。

大王崎灯台までは徒歩10分あまり。一回りすればいい朝の散歩である。

 

この日の昼間は志摩半島の南端、麦崎(写真)や船越地区を散策した。
炎天下の散策なので快適とは言えないが、雨に祟られるよりはましである。

一帯は常に潮の香りが漂い、漁港では網が山のように積まれている。そんな何の変哲もない景色を撮りながら、誰もいない静まり返った港を歩く。

夏の日の照り返しが強く、黒板の塀や重厚な鬼瓦がその陽を受けている。実に「伊勢志摩の夏」を感じる光景ではあった。

大王崎灯台。午後にはこの観光スポット周辺をうろうろしていた。この灯台は中に入ることができる。燈光会という団体が管理している全国10の灯台は80円(この当時)で見学することができるのである。もちろん私も上ってみた。高所恐怖症のくせにとりあえず高いところへ上ってしまうという傾向はどこに行ってもある。景色は実にいい。大王崎は熊野灘と伊勢湾を分ける位置にあり、そういう意味合いで「波切」という地名なんだそうだ。

ここで昼食は地元名物の「てこね寿司」というものを食べた。カツオを醤油づけしたものを散らし寿司風にしたもので、もとは漁師料理だとガイドブックには書いてあった。まあ、そんな記事を見て食べてみたくなった次第である。味は満足。たまにはちゃんとした店で食事をするのもいいものだ。

波切3日目。


波切2日目の夕日は1日目のものより精彩に欠いていたので他にいいところはないかと周囲をロケハンしたにとどまった。そしてこの日は午前中波切をブラブラ歩いた。午後は暑いので部屋で高校野球などを見ているが、宿のおじさんが、「今日は大念仏だから、あんたも行ったらどうだ。写真ならいいのが撮れるかもよ」などと言ってくれた。後で知ったことだがこの「大念仏」という盆の行事はちょっと変わった行事としては有名なものである。私は伊勢志摩の風景のことばかりしか頭になかったので、そんなものがあるとは全く知らなかった。
宿のおじさんが教えてくれなかったら、そのまま夕景を撮りに行ってしまって(まあ、それでも別にいいのだが)、この行事を見逃すところだった。

写真がその「大念仏」の様子。夕方から夜遅くまで、屋号の書いた傘を縁者が代わる代わる持って太鼓のリズムに合わせてぐるぐると回っていくというもの。一見輪を描いているので盆踊りのようにも見えるが、中央にやぐらがあったりということはない。服は夏礼服が多かった。
写真の方は、ストロボを持ってこなかったので、「だめかー」とも思ったが塀の上にのせて上手いこと撮ることが出来た。夜になると傘の中にあるちょうちんが灯り、一層幻想的になる。あまり「盆」というものを意識していない私であったが、この「大念仏」はとても印象に残った。伊勢志摩に来て良かったと思えた行事だった。

波切4日目。

もう朝のサイレンも慣れて、サイレンの前に目がさめて、そのサイレンが鳴るのを心待ちにしている自分がそこにあった。朝の写真を撮った後、和具という半島の突端まで行ってみた。何をするでもなかったが、次に泊まる宿の位置も確認して戻ってきた。
登茂山からの撮影も今日が最後。夕方いつも乗るバスで撮影地に向かう。
写真はバスの中のもの。「安全度」について面白いコピーがあったので撮ってみた。バスは「行き」はあるのだが、帰りはすぐに終バスとなって引き返してしまうため1日目からタクシーで帰ることにしていた。この日もそうだった。

撮影をしたのは登茂山から少し下がったところ。遊歩道になっていて入江の奥深くといったところだった。真珠のいかだがほどよいアクセントになる場所だったのでそこで撮影することに決めた。

写真は日没直前の光景だが、ネガであることとコンパクトカメラで撮ったということもあって、画質がイマイチである。
しかし、リバーサルの方にはしっかりと刻々と代わる湾の色が記録できた。

一番凄かったのが日没30分ぐらいの時で空の夕焼けが映りこんで濃い朱色に湾が染まった。この時はさすがに興奮してシャッターを切っていた。こんなすばらしい風景に出会えたことはなかったので感動した。
「あー、伊勢志摩に来て良かったなー」、と心底思えたひと時だった。

伊勢志摩の旅行はあと2泊3日続くが、ここがひとつの切れ目だと思うので一旦ペンを置くことにする。

時間のある方は「その2」どうぞ

 

 

 

 

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