中央アジアを舞台にして、10人の神々と土着の人々が織り成すドラマを集めた短編連作シリーズです。
隨分前に刊行された作品なので単行本を入手するのは難しいかもしれませんが、21世紀に入るか入らないかという頃に復刻版が刊行されました。
この単行本には「ペキネンシス50万年」「バンボレットの谷」「バルマンの鉄柱」「宇宙(そら)ゆく帆船(ふね)」の4編が収録されています。
「ペキネンシス50万年」
北京原人の発見と10人の神々をからめた物語です。
古代文明を扱っていると、実際にも「オーパーツ」というシロモノに出会うこともあるのですが、この「オーパーツ」が、この短編の中で語られている意味を持っているとしたら―?
「バンボレットの谷」
カラッシュ族の人々が暮らす、パキスタンの国境近くのバンボレットの谷が舞台です。
100年近くの間カラッシュ族の人々の守護者として、影ながら彼らを守っていたターラ(「ゾマの祭り」シリーズに出ていた真美女)と、馬の怪我で谷に降りたスルジェの出会いの物語でもあります。
バンボレットの谷は実際にパキスタンあたりにある渓谷なのですが、よほど詳しい地図でなければ位置確認をするのは難しいと聞いています。実際の世界でもこの物語の舞台になっている地域は治安が不安定(21世紀初頭現在)なので、このあたりに暮らす人々はこの物語の人々のように周囲に翻弄されているのではないでしょうか?
カラッシュ族がアレクサンドロス大王の遠征軍の戦士たちの子孫―という伝説もホントにあるようです。
「バルマンの鉄柱」
このシリーズには欠かせない、10人の神々の誕生物語です。
10人の名前に使われている言葉については、何語をベースにしているかはちょっとわからないのですが、実際の言語のなにかをモデルにしているとしたら興味深いかな?とも思っています。
オリジンだけが父から名づけられたことは、後に彼が9人の弟たちと異なる運命をたどる予徴だったのかな?とも思えます。
この物語に使われている鉄柱は、実際にインドにある錆びない純鉄の鉄柱―チャンドラ・バルマンの鉄柱―がモデルになっています。
「宇宙(そら)ゆく帆船(ふね)」
終末の世を予感した10人の神々は、次の世の人類の祖となる人々を選び、かれらを世界中から呼び寄せます。
神々に呼ばれた人々はインドのデリーに集まり、そこから終末を逃れるための「宇宙(そら)ゆく帆船(ふね)」に乗ることになります。
スルジェとともに天山山脈に行ったターラは神々とともに次の世へ行くことを拒むのですが、この行動にもいくつかの解釈ができるかもしれません。
「シルクロード」の世界へ―
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| 桜色の残像 | |||
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