中央アジアを舞台にして、10人の神々と土着の人々が織り成すドラマを集めた短編連作シリーズの外伝的な短編集です。
この作品集では、「キャラバンの鈴(はるかなるシルクロード収録)」で行方知れずになった神の子孫が綴られています。
隨分前に刊行された作品なので単行本を入手するのは難しいかもしれませんが、21世紀に入るか入らないかという頃に復刻版が刊行されました。
この単行本には「風とビードロ」「風の子守歌」「風のメモリアル」の3編と「イシククル天の幻影」が収録されています。
「風とビードロ」
旅館の住み込み女中の乃実絵は、羽間崎と名乗る男性から引き取られます。
羽間崎邸で乃実絵に与えられた仕事は竹織の話し相手になるということでした。竹織はシルクロードの10人の神の地をひく少年で、不思議な力を持っていました。
乃実絵はいつしか竹織に惹かれていくようになるのですが、その矢先に自分が引き取られた本当の理由を知ることになります。
「1941年12月8日」で物語の正確な頃合がわかりますね。
「風の子守歌」
竹織と乃実絵の間に生まれた織花は羽間崎に何不自由なく育てられるのですが、父の血と力は彼女にも確かに受け継がれていたために、屋敷での日々は彼女にとって窮屈なものでしかありませんでした。
やがては織花も恋を知る年頃になります。
作中の「RCガス」については、ホントにこんなシロモノがあるかどうかは不明です(でもサリンもあるくらいだから、酔いの中わからないかも…!?)
「風のメモリアル」。
父から受け継いだ力で織花は危険な研究をしていた工場を消してしまいますが、その代償として彼女はすべての記憶を失ってしまいます。
アメリカにとらえられた織花を助けたのはJという青年でした。彼とともに自分の記憶と心を探す織花はついに竹織が幼い頃を過ごした村にたどりつき、彼女にとっては遠い血縁者でもある詩織とも会うのでした。
「イシククル天の幻影」
はるか未、文明が滅んだ後の地球を舞台にしています。
砂漠化した地上をさまようサムカの一行は小さな湖のもとに辿り着き、ここで定住することにします。
しかし、笠縫の守る、「オリジン」と名づけられた湖はサムカたちがここに留まり、いつかは文明を復活させようとすることを善しとはしませんでした。
実際にユーラシアには「イシク湖」という湖があり、シリーズ本編でもこの湖が使われているものがある(そういえばその物語でも泉守りの娘と神オリジンが出ていたよーな…?)のですが、この作品の「イシククル」は「イシク湖」とは別モノとして考えたほうが、そして「オリジン」も本編の「オリジン」とは別人として考えた方が無難でしょう。
「シルクロード」の世界へ―
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