中央アジアを舞台にして、10人の神々と土着の人々が織り成すドラマを集めた短編連作シリーズです。
隨分前に刊行された作品なので単行本を入手するのは難しいかもしれませんが、21世紀に入るか入らないかという頃に復刻版が刊行されました。
この単行本には「はるかなるシルクロード」「天翔ける馬」「キャラバンの鈴」の3編が収録されています。
「はるかなるシルクロード」
九州のとあるところに、長い間外界との一切の接触なく存続している村がありました。村を外界から隱していたのは、天池の家に生まれる白い人間。その「白い人間」はシルクロードの神々のひとりの血を継いでいたのです。天池の白い人間として生まれた詩織は自らに疑問を抱き、ついに祖先の地を訪れました。
シリーズ初期の頃の作品です。
「天翔ける馬」
日本人を父に持つハザックの娘ムーランは、いつしか日本への憧れを持つようになります。そんな折り、日本から学術調査を目的とした一行がムーランの住む集落にやってくるのでした。シルクロードの神に日本へ旅立つ許可と旅の無事を願うため、一行と行動をともにすることを望んだのです。
この作品の時代設定は20世紀末くらいとなっていますが、作品が書かれた頃と現在の時勢は劇的に変化している(ベルリンの壁事件が起きるまでは誰も社会主義崩壊なんて事件は予測もしていなかっただろうしなぁ…。この物語と社会主義はあまり関係ないですが★)ので、「この地域にはこういう御時世もあったんだなぁ…」的感覚で見ることもできるかもしれません。
「キャラバンの鈴」。
ナシュとカリアはペルシャの都でも評判の芸人でしたが、戦にまきこまれてナシュは生命を落としてしまいます。パートナーの復讐を誓ったカリアは、滅び行く帝国から逃れ出たキャラヴァンに紛れ込んで東の地へと向かうのですが、その道中でシルクロードの神々のひとり―長オリジン―と出会うのでした。
この作品は、楼蘭遺跡で発見された少女の遺体に着想を得て書かれたものだそうです。
シリーズ中、お気に入りの作品のひとつです。
「シルクロード」の世界へ―
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