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109号
発行日:平成16年10月5日

旭川大学地域研究所運営委員会
〒079-8501 旭川市永山3条23丁目
TEL (0166)48-3121(代) FAX (0166)49-2552

平成15年度 地域研究所シンポジウム報告


      

           テーマ  「まんが・アニメ産業と地域経済」


◆日 時  平成16年2月27日(金) 13:00〜17:00
◆場 所  旭川大学北辰会館 2F 国際会議場 
◆基調講演 「まんが・アニメビジネスの現在」
角川書店・宣伝プロデューサー 蜂屋 誠一 

☆パネリストの皆さんお疲れさまでした。

角川書店宣伝プロデューサー
蜂屋誠一
毎週80本ものアニメ、それぞれがどのように
製作費を回収・収益をあげているか、そこから
逆算した産業論を熱く語っていました。
ヴューワークス社長
新崎 力也
「魔法遣いに大切なこと」「サブマリン707R」等
のCG部分を担当、17名のCG軍団を率いる
地元産プロデューサーに期待が高まりました。
アトムの会 会長
氏家 正実
冨貴堂本店長室に、手塚治虫直筆鉄腕アトム等ファン垂涎のグッズを遺す一方、出版文化の質の向上を熱望して「渦牛の歩み」展を開催してました。
喫茶店もぐらや/古本屋もぐちゃん店主
稲垣 陽一
まんが・アニメと世相、両者の相互関係・歴史に
親子関係をも重ねてコーヒーを楽しむことの
できる喫茶店にまたいきたくなりました。
アニメイト旭川店長
宍戸 結輝
コミック本、キャラクターグッズ、CD・DVDの三位一体的展開を推進する若き
伝道師ぶりを発揮していました。
司 会

旭川大学地域
研究所長
竹中 英泰
挨 拶

旭川大学学長
山内 亮史


会場風景



 私達は、溢れんばかりのモノと情報に囲まれています。工業製品のみならず農産物すら世界中からやって来ます。身の回りの消費財の多くは、大企業や低賃金の途上国からのモノがきています。
 その反面、日本のまんが・アニメは、欧米の家庭に深く浸透しています。国内の全書籍出版点数の6割はコミック本やまんが雑誌と言われます。BSやCSを含めアニメの放送は、週80本にもなると言います。「ヒカルの碁」にみられるように、あらゆるジャンルにまんが・アニメが生れ、TVや映画館、CDやDVD、あるいは書店やまんが喫茶を通して、世界中で親しまれています。
 しかし、その割にはまんが・アニメの制作現場とビジネスの姿についてよく分かっていない点が、シンポジウムを通して見えてきました。流通事情、そして消費者の好みや階層(マーケティング)等々、討論は懇親会にまで引き継がれていました。
 会場には20名近い学生も参加、北海道東海大学の学生からの発言もありました。ゲームソフトも含めいわゆるソフト分野が広がりを見せるなかで、まんが・アニメ産業の姿や地域での展開をどう見据え創るのか等々考えさせられることの多い一日となりました。
 折りしも、東大は「アニメやゲームなどを総合的に創造し、世界で勝負できるプロデューサーを育成しよう」と2年間コースの教育プログラムを立ち上げるとか(朝日新聞3/6)。「まんが・アニメ学科」が旭川大学にも可能かどうか一考の値いがありそうです。


★☆質問者★☆

旭川大学経済学部3年
高井 美博君
アトムの会
五十嵐 直実さん
岡 康弘さん 北海道東海大学
芸術工学部2年
前田 学史君
旭川大学経済
学部3年
高橋 祐也君
旭川大学教授
浅田 政広さん
上川支庁長
青木 次郎さん



懇親会

(平成15年度地域研究所シンポジウム)     『メディアあさひかわ』2004年4月号より転載

寄稿

シンポジウム「まんが・アニメ産業と地域経済」に参加して
旭川大学経済学部3年 高井 美博
2004年2月27日、旭川大学地域研究所が「まんが・アニメ産業と地域経済」というテーマのシンポジウムを開いた。私は2月7日にあったアニメのイベント「まんが・アニメBOX」(旭川市民文化会館)で、今回のシンポジウムを開く地域研究所所長である竹中教授と逢いそれを知ることができた。
 私は竹中教授に現在のアニメファンの事情などを知ってもらいたく、持っている限りの「アニメディア」(月刊誌)と声優のエッセイ本・『声優名鑑』などを貸した。今思えばかなりの量を貸したので迷惑だったのかもしれないが・・・。その時に「司会補佐をしないか」という話もあった。当日はそんな話は忘れられていたようだが、そんな事よりも地域ぐるみで漫画・アニメを産業として、文化として注目しようという旭川市の姿勢に感動と羨ましさがあった。
 私の出身地である釧路市はアニメや漫画のファンは多くても産業・文化として捉えようとはしていない。相も変わらず低迷を続ける漁業・観光業・公共事業にしか着目せず、街には寂れた土産屋と小さな店しかなく、日曜であっても駅前に人がいない「活気のない街」になってしまっている。郊外に出れば使う人間がいるのかすら解らない道路が横たわり、「税金の無駄遣い」と言わざるを得ない。
 一般的に人間は新しいことに挑むときに戸惑いがあり、年齢を重ねるごとに慎重になる傾向がある。しかし、私のいる大学では(失礼ですが)中高年とも言える学長や何人かの教授がアニメ・漫画産業に注目し「なぜ多くのファンが存在するか」「なぜ海外でヒットするのか」「ファンはなぜアニメを観るか・何を学ぶのか」などを発言し、シンポジウムに来た学生やパネリストの人たちに聞いていた(もちろん教授達は私のようなヲタクではない)。付け足すと7日に行われた「まんがアニメBOX」というイベントでは旭川市や上川支庁が協力しているらしい。私はその「柔軟かつ挑戦的なオトナ」という私が理想としているスタンスのオトナに逢えたことに感動と羨ましさがあった。
 それに引き換え釧路市では、ファンが多く同人誌の即売会があるにもかかわらず、大人の大半はアニメ・漫画に対して軽視する傾向が未だにあり、そのため大学進学や就職を機に札幌や旭川に移るファンも多い。

私もその一人である。
勿論、釧路市をはじめとした自治体に真似をしろと言っているのではない。現状を考え、地元の経済活性化のために何をすればよいのか、どういうものが必要でそのために方針をどうすればなどを地域行政や財界は考えるべきである。固定観念を捨てろとまで言わなくても新しい考え方や変わった考え方があったら少なくとも興味を持つということは決してマイナスにはならないであろう。この投稿を見て不愉快に思った人もいるかもしれないが、三年間、旭川に住みファン・製作側などの事情を管見し釧路市と比較した率直な意見である。
 さて、かなり長文になってしまったため「今回のシンポジウムで感じたこと」はこれくらいにして、次に、内容については書くことにする。
 パネリストは5人いて、大きく分けると「ビジネスとしてのアニメ・漫画」を語るのは角川書店宣伝プロデューサーの蜂屋誠一さん、ヴューワークス社長の新崎力也さん、アニメイト旭川店の店長の宍戸結輝さんで、「文化としてのアニメ・漫画」について語ったのが「アトムの会」会長の氏家正実さんと「アトムの会」事務局長の稲垣陽一さんである。
 まず、蜂屋さんによる「アニメでビジネスを行うこと」という話では現場での損得の問題や、宣伝・製作等にあたっての戦略、さらに現在の日本アニメの世界的な評価や経済効果などが取り上げられ、製作者を目指す人はもちろんだがそうじゃない人でもファンなら思わず頷きたくなる内容だ。
 都合により遅れることとなった新崎さんは「旭川市のアニメ製作会社としての強みと弱み」について語ってくれた。遠隔地ゆえの苦労、少人数で多くのことをこなさねばならないという事情を知り、尊敬の意をもった。
 宍戸さんは「どのようなグッズが売れているか」という話でグッズについての解説をしていた。関連グッズに関しては「テニスの王子様」や「最遊記」が挙げられていた。
一方、氏家さんと稲垣さんは「手塚治虫氏の漫画に対する情熱・考え方」について語ってくれた。手塚氏の利益よりも多くの人に読んでもらいたいという姿勢に彼が「漫画の神様」と呼ばれる理由がわかった気がする。
 私はかれこれ17・8年様々な漫画を見てきたが人に感動を与える作家の描く漫画というのはそこから作家のポリシーや魂が感じられる。私の好きな漫画家を挙げて言うと、別のサッカー漫画のいいところを取り入れたり、キャラクター一人ひとりの飽くなき向上心や強さがひしひしと伝わってくる「キャプテン翼」の高橋陽一先生がサッカー漫画家の頂点に君臨する理由と魅力が解るような気がするし、人が持つ「心の強さや弱さ、友情や愛」などが描かれていて女性だけではなく男性にも読者がいた「神風怪盗ジャンヌ」の作者である種村有菜先生からは価値観やポリシーなどが直に伝わってくる(単行本の「柱」という部分も見ることをおすすめする)。
さて、もう少し蜂屋さんについての話をすると「産業として考えている」といっても、ただ儲けのみを考えているわけではなく、彼の戦略やポリシーには思わずうなずいてしまう。特に「アニメの影響で人殺し」とか「生活費を削ったり、辛い思いをしてまでグッズを買う」などといったファンの暴走を嫌がっていた。
パネリスト達の話が終わると今度は質問をする時間となった。「今後、日本のアニメはどうなるか?」「アニメが与えるよい影響とは?」といった質問が飛び交う中、私は「『ス−パ−ロボット大戦、略称スパロボ』や『アニメ店長対デ・ジ・キャラット』のように版権・世界観の問題をクリアできるなら様々なジャンルでコラボレーションをしたいですか?」というかなりストライクゾーンの狭い質問を、緊張した状態でしてしまった。これに答えてくれたのは宍戸さんと蜂屋さんだった。二人ともかなり苦笑いをしながらコメントしてくれた。「機会があればいいと思いますが、頻繁にやるものではないかな・・・」とコメントしていた宍戸さんに翌日、アニメイトで「昨日は変な質問をしてしまいすいません。」と私はマンガとCDを手にしながら謝った。
 そして、蜂屋さんは「『スパロボ』は版権・世界観の問題をクリアして作品としても素晴らしく敬意を持っています。ですが、現在進行形の作品は夢の組み合わせに入れるべきではないでしょうね」とコメント。私も同感なので本当にうれしかった(笑)。
実は休憩時間にもなのだが、蜂屋さんとはシンポジウムが終わった後の懇親会でも話をしている。懇親会では参加者のアニメや漫画に対する思いを語り合っていた。そこにはファン・製作者それぞれの想いがあり一時間を短く感じていた。中には私のサッカーものや変身ヒロインもののオールスターという夢やロボットアニメへの想いを聞いてくれる人もいた。ビール3本で加速した私の思いは酔っ払いの説教になっただろうが、私なりの想いを話したつもりだ。
 前にも書いたが学長や教授達も制作者側・ファン側の両面から様々な人に想い・考えを聞いていた。私はそのことがうれしく、その日の夜はあまり眠れなかった。「そして、釧路でもこういった取組をしてほしいと野心を持ちつつ、公務員になってそれを実現することへの想いを高めた一日となった。


 

108号以降の 地域研究所動向


・2004年2月10日  第6回大学運営モデル研究会
・2004年2月5日  ヴューワークス訪問・2004年2月6日  氏家さん・稲垣さん訪問
・2004年2月12日  第7回大学運営モデル研究会
・2004年2月27日  平成15年度シンポジウム
・2004年3月8日  第8回大学運営モデル研究会
・2004年3月10日  第9回大学運営モデル研究会
・2004年3月17日  第10回大学運営モデル研究会
・2004年3月17日  ベンチャービジネス研究機構特別講演会参加
・2004年3月18日  第1回創造的地場企業育成支援研究会
・2004年3月19日  卒業式
・2004年3月22日  第11回大学運営モデル研究会
・2004年3月29日  第12回大学運営モデル研究会



本の紹介

  
・以前に当研究所の特別研究員だった木呂子敏彦(音更町在住)さんより寄贈頂きました。
 木呂子敏彦
  『鳥の眼みみずの目』
  木呂子敏彦著作集刊  行会

  2004年2月19日